特定機能病院で働く看護師のやりがいと問題点

地域医療支援病院よりもさらに厳しい要件をクリアし、高度で最先端の医療を提供する役割を担っているのが、主に大学病院などに代表される「特定機能病院」です。一般の地域の病院では治療が困難だとされる重症患者さんや、特殊な難病を抱えた方々が集まるため、ここで働く看護師は周囲の同業者からも羨望の眼差しを向けられる存在です。
しかし、華やかなイメージの裏側で、特定機能病院の看護師たちは常に張り詰めた緊張感という目に見えない恐怖と闘いながら業務にあたっています。

特定機能病院に入院している患者さんは重症度が高く、病態も非常に複雑です。そのため、提供される医療のレベルも極めて高く、現場の看護師にも日々アップデートされる最新の知識と、正確無比な技術が要求されます。自分のスキルや知識が少しでも追いついていなければ仕事についていくことができず、常に勉強を続けなければならないというプレッシャーから、職場の雰囲気もピリピリとした緊張感に包まれがちです。休日に家で休んでいても、仕事のことが頭から離れず、なかなか心からリラックスできないという悩みを抱える看護師は少なくありません。

さらに恐ろしいのが、医療事故に対する圧倒的なプレッシャーです。一般企業の事務作業でのミスであれば、書類を修正して謝罪すれば済むかもしれません。しかし、高度医療の現場におけるほんのわずかなミスは、患者さんの命を直接奪う取り返しのつかない結果を招きます。万が一、病院内で重大な医療事故が発生してしまえば、施設としての「特定機能病院」の承認が取り消されるリスクすらあり、病院の存続そのものを揺るがす事態になりかねません。日常的な重圧に加え、次々と運ばれてくる救急患者の対応に追われる中で、絶対にミスは許されないという極限の恐怖と闘いながら働く看護師のメンタルケアは、現在の医療業界全体が抱える大きな課題となっています。